連載 エッセイ 

1.「雉」    小林 もりを  記  初出 鳥好会 会報  創刊号

   中国武漢地区である。 畠など歩いているとき足元からキジに翔び立たれて驚かされる事チョイチョイ。    羽ばたきは強烈で頭を叩かれそうである。 十米位真直ぐに上がって滑走して逃げる。 あるとき目の前   の原っぱに降りたのでよく見定め三八銃を取り寄せ身構えながら近づいて行った。 出るか出るかと、出   たら真上に羽撃きながら上がるから真下から撃てると、ウロウロしたが気配もしない。 馬鹿にされたよ    うでシャクにさわったので犬をつれてこいと命じた。 さすがに犬だ、すぐ嗅ぎつけたが瞬間キジは羽撃っ   た。 相変わらず猛烈だ、兎に角犬はシックリ返るようにビックリ。 こっちもアッと頭を抱える。 気付いた   時は真上から悠々と滑走して行った。 銃を構えるどころでない。 真にみっともなかった。 よし自信の    あるやり方で敵討ちに出かけるとする。

2.慈悲心鳥  小林 もりを  記

  木曽の御嶽山の奥にダム建設の為赴任した(昭和12年4月)。 5月になっても雪は大威張りで残っている。 6月になると種々の花が一気に咲き出す。 桜は7月中旬満開盛夏となる。 研ぎ澄ました夜を仏法僧が鳴きながら渓を下ってゆく。 雄仏法と鳴けば雌僧と合わす。 鳥ですら仏心厚きものをまして人に於いておや。 ということで法名か? 慈悲心鳥といい青葉ヅクであるという。 その後コノハヅクであると判る。 ブツ・・・3秒位 ポー・・・・・・10秒位 ソー。 一ト鳴き500m位鳴きながら上流から下流遙かに飛んで行ってしまう。 三声位しか聞けない。 三夏目には工事も本格的になりランプ生活から電気が灯るようになって来なくなった。 昭和45年頃東海の鳳来山の麓の民宿に俳句仲間と泊まった晩仏法僧が鳴き出したので驚いたがNHKの録音放送を記念に村に受けサービスに処を変えて懸けているとのことで、一応懐かしかった。

閑話休題  作者のご紹介 小林盛幸さん

ご出身は神奈川県。入会して?年目。いつも熱心に例会に、行事に参加されています。バードカービングの他には水墨画、囲碁がご趣味と。囲碁は青葉区大会で何回も優勝されています。バードカービングの作風は緻密です。 きっと建築土木のお仕事で道路、橋梁、ダム、湾港、水道など長く手がけてこられた為でしょう。人生経験が豊かでお話を伺うと為になります。どうぞこれからも作品を作り続けてください。 楽しいエッセイもよろしくお願いします。


3.傳書鳩   小林 もりを   

 戦後銀座の夕空を300羽程の鳩が大きく円を作って飛んでいる。 新聞社の傳書鳩だ。 無線器具の発達によって活躍の出番がなくなり糞害で嫌われものになってしまった。 帰巣能力で新幹線より速く帰って来たのに。 平和の使者も哀れ時代の変遷により厄介者あつかいになり「鳩に餌をやらないで下さい」とまで可愛そうな境遇に追い落とされてしまった。 三年程飼ったので思い出は多い。


4.手乗り文鳥   小林 もりを   記    H15.7.5

 マンションを買った。 子供達の住居とした。 幾時の間にか手乗り文鳥を飼い出したのが、三番(つがい)になり大きな鳥箱を作った。 長さ1m、幅60cm、高さ80cm。 高い所に二段巣籠を取り付ける。 一日に二回位部屋に出して遊ばせる。 手の上、頭の上等皆遊び場所にして可愛いい。 時々白いものをチビられる。 鳥でも風邪を引いて苦しそうな事もあり、わざわざ東京世田谷の病院に車で診療につれて行くのである。 毎日水浴させる。部屋中を廻って浴室に行く。 自分の水浴器以外は使わない。 自分の番迄待っている。 各自よく自分の器がわかるのが不思議である。 海苔は大好物であるがノドに張り付いたりしたら大変である。 油断出来ない。 10羽位と段々ふえる。2〜3年の寿命か。 植木鉢の中にビニールでくるんで埋められていたが多くなったので我家の墓の一角に鳥の墓を作る。 20羽位が仲よく寝ている。 


5.昭和42年 句誌 ホトトギス 入選句 ご紹介

  春彼岸 供華なき 僧の墓並ぶ 
 
6. カモ      小林 もりを         H16.3.6

 今日も近くに鴨が来ている。 が少しおかしい。 片方の肩をあげ時おりパタパタさせて浮いている。 どうしたのかなあと見ていたが、つかまえる気になり小舟(サンパン)を呼んで、乗りつけ手を伸ばしてつかまえようとしたらもぐってしまった。 2m先に出た。
又肩をあげパタパタやっている。 舟をつけさせつかもうとしたら又もぐってしまった。 やれやれと思って見回していたら8m位先に
出た。 腹がたって竹の棒があったから よしとかまえて近づいたらとどかぬ先にもぐられた。 ムカツ腹が立って来た。 「先生(シーサン)不行(プーシン)ね」と船頭が言う。 手のさす方を見ると30m先に鴨の親子が仲よく泳いでゆく。 子鴨を遠くに逃がすための
親鴨のお芝居に乗せられた。 何んとカモられてしまったと気がついた。 人に話せん話ですね。